算命学

第5回:通変星とは?社会的な役割・人間関係・仕事のカギを読み解く

「なぜ私はこの仕事にやりがいを感じるのか?」「なぜあの人とは衝突しやすいのか?」

こうした疑問の“根っこ”にあるのが、自分の性質や社会での役割に関わる「通変星(つうへんせい)」です。

四柱推命では、生まれた日を基準にして人生の傾向や才能、人間関係を読み解きますが、なかでもこの**通変星は“人生の動力源”**ともいえる存在。

「正官」「偏官」「印綬」「偏印」などの星を通じて、あなたの本質や社会との関わり方が見えてくるのです。

今回は通変星の基本的な仕組みから、それぞれの星がもたらす特徴、仕事との相性、人間関係への影響までをやさしく解説していきます。

通変星とは何か?

通変星の定義と役割

通変星とは、四柱推命で用いられる10種類の“性質の星”であり、生まれた日の**「日干(にっかん)」**を起点にして、他の干との関係によって導かれるものです。

たとえば、生まれた日のエレメントが「木」であり、月柱の干が「火」だった場合、それは「木生火(もくしょうか)」の関係となり、これに対応する通変星が割り出されます。

通変星の一覧(10種類)

カテゴリ星の名前
自我の星比肩・劫財
表現の星食神・傷官
財の星正財・偏財
実行力の星正官・偏官
知性の星印綬・偏印

これらの星は、自分自身の性格傾向・得意分野・人生で重要になる価値観を象徴しており、「社会的な役割」「人との付き合い方」「働き方の向き不向き」を読み解く手がかりとなります。

通変星の分類(正統派型と型破り型、5つのグループ

通変星はその性質によって、「正統派」と「型破り派」に大別されることもあります。

  • 正統派の星:正官・正財・印綬・食神など

  • 型破りの星:偏官・偏財・偏印・傷官・劫財など

また、以下の5つの象徴的グループに分けられます。

自我の星(比肩・劫財)

  • 自立心が強く、他人に頼らずに行動する

  • 仲間意識やライバル関係に敏感

表現の星(食神・傷官)

  • 感性や創造力、言葉による表現力が豊か

  • 芸術家やライター、接客業などにも向く

財の星(正財・偏財)

  • 経済的な感覚に優れ、現実的

  • 財を得ること、分け与えることへの関心が強い

実行力の星(正官・偏官)

  • 社会的な責任やリーダーシップを象徴

  • 組織との関わり方に深い意味を持つ

知性の星(印綬・偏印)

  • 学問や教育、精神的な世界との関係が深い

  • 人生において「知」を重視する傾向がある

正官・偏官・印綬・偏印の特徴解説

ここでは、特に社会性や知性に関係の深い4つの通変星を取り上げ、それぞれの性格傾向や仕事、人間関係との相性について見ていきましょう。

正官:社会的責任と安定感

正官は、誠実・責任感・安定といったキーワードで表されます。組織の中でルールを守りながら堅実に努力し、信頼されるタイプ。

  • 公務員・教師・企業管理職などが向いている

  • 女性にとっては“夫”を象徴することもある

  • 規範意識が強く、組織に忠実

この星が強い人は、周囲からの評価を気にしやすい反面、「きちんとした生き方」に安心感を抱く傾向があります。

偏官:行動力と改革精神

偏官は、スピード感・挑戦・決断力を象徴。常に前を向いて進み続けるタイプです。

  • 起業家・営業・現場監督・政治家タイプ

  • 状況に応じて臨機応変に動くのが得意

  • 「型破り」である反面、周囲を動かす力も

組織のルールに縛られるよりも、自分の裁量で動ける環境の方が才能を発揮しやすいでしょう。

印綬(正印):知性・教育・安心感

印綬は、「学び・保守・精神性」を象徴します。穏やかで知的な印象を与えることが多く、信頼されやすい星です。

  • 教育・研究・医療・法律関係の職に適性

  • 精神的な支えや安心感を他者に与える存在

  • 記憶力や思考力に優れており、分析が得意

安定志向が強く、冒険よりも「安全第一」。そのため、型破りな人には警戒心を抱く傾向があります。

偏印:自由な創造性と精神世界

偏印は、直感・ひらめき・創造性を象徴する星。

普通に収まることを良しとせず、独自の世界観を大切にする傾向があります。

  • 芸術家・作家・心理カウンセラーなどに適性

  • 飽きっぽいが、ハマると深く追求

  • スピリチュアルや哲学的な関心も強い

「変わり者」と見られがちですが、偏印の人は社会の常識の“外側”にこそ価値を見出します。

社会的な役割・仕事との相性を読み解く

通変星を活かすことで、自分に合った働き方が見えてきます。

以下は4つの星に基づく適職傾向の例です。

  • 正官型:安定・信頼が求められる公務員、教育機関、法律関係

  • 偏官型:チャレンジ精神を活かせる起業、営業、現場系の仕事

  • 印綬型:深く学び、教える立場に適した医療・教育・研究職

  • 偏印型:独創性や自由な発想を活かせるアート・文章・企画職

自分の星の性質と仕事環境のマッチ度が高いほど、ストレスは減り、成果も出やすくなります。

星の強弱がもたらす影響

通変星は、「星の種類」だけでなく「星の強さ」も重要な判断材料となります。

強い星を持つ場合

  • 正官が強い → 真面目すぎて柔軟性に欠ける傾向も

  • 偏官が強い → 攻撃的・短気になりやすい

  • 印綬が強い → 考えすぎて行動が遅れることも

  • 偏印が強い → 空想に偏り現実感が薄れる可能性も

弱い星を持つ場合

  • 弱点として出ることもありますが、他の星とのバランス次第で補完可能

  • たとえば、印綬が弱くても「食神」や「偏財」など表現の星が強ければ、コミュニケーションで補える

複数の通変星が表す人間関係の構造

人の命式には複数の通変星が存在し、それらが組み合わさって人間関係の構造や価値観の優先順位を形作っています。

特に重要なのが「五行の関係性(相生・相剋・比和)」。

  • 相生(そうしょう):助け合いの関係

  • 相剋(そうこく):ぶつかり合う関係

  • 比和(ひわ):似た者同士

この関係性によって、他人との相性も読み解くことができるため、パートナー選びやチーム編成の参考にもなるのです。

まとめ・締めくくり

通変星を知ることは、単なる占いの枠を超えて、人生の設計図を読み解くことにつながります。

自分がどんな役割を担いやすいのか、何に喜びを感じるのか——それが明確になれば、仕事選びや人間関係もスムーズになります。

次回は、他の通変星(比肩・食神・正財など)や組み合わせパターンによってどう読み解くかをさらに深掘りしていきます。お楽しみに。

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